2020年の相棒 Standert “ERDGESCHOSS”

ずっと新しいシクロクロスバイクを探していて、しかしなかなか乗りたいバイクも無く、ようやく知ったStandert.“ERDGESCHOSS”。ドイツ語なので発音はわからない。熱心に参戦してきたシクロクロスレースも、ある程度自分の上限が見えてきていて、それでも楽しむためにはどうしたらよいだろうとしばらく悩んでいたのだった。

一方で、釣りやバイクパッキング用にこさえたRodeo LabsのFlaanimalは、どっしりとしていて安定があって良かったのだけど、もう少し軽快で反応性のようバイクだと海外のロングツーリングも楽しめるな、と感じはじめていた。専門性の高いバイクもいいけれど、1台でマルチパーパスにこなせるバイク、それでいてシクロクロスレースもある程度のレベルで楽しめるものを、と探していたのだった。

条件は次のとおり

  1. グラベルバイクではなくシクロクロスバイクであること
  2. そんなに太いタイヤが入らなくてもよい(究極33cでいいのだ…)
  3. ディスクブレーキ&Di2対応
  4. キャリアダボがついていること
  5. ボトルケージ穴があること
  6. あんまり日本では見ないブランド
  7. 鉄製

1.は、ある程度の期間通勤なども含めてグラベルバイクに乗ってみて、感じたところ。どうしても、シクロクロスバイクのクイックで軽快な乗り味が自分は好きなのだと。ホイールベース詰まり気味のちょっと腰高な感じが好きなのだ。

2.は、1.に付随するけれども、猛烈な林道などに行く予定もなく、ある程度のガレ場であれば経験上33Cで問題ないかなと。野辺山グラベルチャレンジはシクロクロスバイクのまま参加したけれど、あれぐらいなら33cがベストのように思う。特に自分の用途(海外バイク&フィッシュ)でも、昨年の韓国釣行を考えてもひどいオフロードにはいずれにしよ入らないし、パッキングで荷物を満載ならなおさらガレ場に突っ込む理由もない。とはいえ、荷物満載のパニアバッグを搭載すると32cのスリックだとやや心許ないのも事実で、最大で700cで38が履ければいいか。とはいえもっさり思い走りが嫌なので32cくらいに落ち着きそうだが……。

3.これはシクロクロスレースのことを考えて。カンチブレーキで走ってきたけど、やはり泥のレースなどで止まり切らず、なかなか辛い思いもしてきたのでここは最新のトレンドに合わせようと。Di2はどちらでもいいかな、と思っていたが、有線ケーブルでないことでリアディレーラーの取り外しや調整もラクということで、海外輪行を考えるとメリットが大きいなと。一回の充電で700kmくらいは使えるということで、だいたいの海外釣行でも大丈夫だろう(毎日200kmとか走らんしね…)

4.これは海外釣行のため。釣竿、ウェーダー、シューズ……となってくるとキャリアありのパニアバッグスタイルの方がいろいろとラク。

5.ピュアレースバイクでないからこそ、であるが先述のとおり結構シクロクロスの乗り味が好きなのでゆっくりめのツーリングとか、旅ライドで率先して使いたいのでボトルケージがつくのは必須。

6.単純に人とあんまり被りたくない、というこじらせ。Standertの”ERDGESCHOSS”は量産バイクながらカスタムっぽい見た目だし、いいでしょう。日本で乗っている人、いるのかな……?

7.カーボンバイクを所有したことがないバイク歴17年。特に乗りたいわけでもなく、なんだかんだ鉄が好きなので今回も。ステンレンス性というのにもくすぐられるものがある。質は違うと思うけど、過去に借り物のIndependent FabricationのステンレスフレームでCXレースに出たことがあったのだが、それはもうすごくよいフレームで……そんな思い出もあり。錆びないしステンレス、いいのでは?

購入にあたり、サイズや在庫のことなどをメールで問い合わせたら、すごく丁寧な回答をもらいさらに好感度がアップ。出たいレースに間に合わせたい、というと力を尽くしてシッピングしてくれた。年末年始のヨーロッパはいろいろ忙しい時期だろうに、ありがたい。ドイツ的な勤勉さ(というステレオタイプも今は問題になりそうだが)を感じた次第。

Standert.とは

そんなStandert Bicycles、日本語での情報もほとんどないので、調べた限りでのブランド紹介。ベルリンで2012年にスタートしたブランドで、マックスとアンナの2人が創業者のよう。ラインナップはロードを中心に最近のトレンドであるオールロード的なバイクも追加されている。このPFADFINDERなんかは完全に今のトレンドど真ん中といった感じ(欲しい……)

ベルリンベースのロードチームもあって、ジャージキットやスタイルもなかなかいい感じ。ナショナルエリートレベルということだが、たしかにみんな速そうだ。開発はこのチームからのフィードバックを受けて進められているようだ。確かに速いといっても、プロでは無く市井のライダーのニーズに合わせているというのも、実は多くのライダーにとっては恩恵があるのではないかと思ったり。チームバイクは、スカンジウムのKREISSÄGE

各バイクの乗り味はわからないけれども、共通するクリーンなデザイン美学は魅力。伝統的なユーロバイクとも、カスタム文化のアメリカともちょっとちがう、ちょっと北の方のテイストがするデザイン。

Standert “ERDGESCHOSS”

そんなわけで、ビルドアップ。お願いしたのは飯能市のサイクルハウスミカミさん。急なお願いに迅速に対応してきただきました。感謝。

 

ステンレスの地が見えるデザイン。この辺りはチタンフレームにもよくみられるもの。

濡れても滑らない表面加工はシマノがもつ釣具のノウハウを活かしたものだとか。そんなの、釣り人の心に響きまくる。実際は、GRXのブラケットの握りが最高すぎて、これだけでも使いたいと思ったのだった。スラムもなかなか油圧のレバーは大きくて…(ってRIVALしか使ったことないけど)。ブラケットに指が3本入るので、握りも秀逸。ロード用コンポもこれでいいのではないか……。

マッチョ目なコロンバスのフォーク。パーツの入れ替えで、ホイールベースをCXレース/ツーリング用に変えられる。ここではCXレース用にアクスル位置を手前に。

エンド部。シマノのローター、もう少しセクシーになればいいのに。

MVDPも使っているので、10年ぶりくらいにSPDに戻してみた。見た目カッコイイ。

AppleのDesigned in Californiaと同じヤツですね。RaphaもDesigned in Londonて書いてました。ERDGESCHOSSは台湾製。石垣島の近くで作られ、ベルリンに送られ、そしてまた日本まで旅をしてくるグローバリズム。

実走

てなわけで、シェイクダウンは100km超のロードライドから。乗る前のサラの状態はこの時ばかりと、ライドの日の朝にシューティング。

 

ギア比は悩ましいところだったけど、フロント40Tのリア11-40Tに。ギア比1.00なら、登れない坂はないであろう…。

 

ホイールはロルフプリマのAres4。タイヤはIRCのシラクCXチューブレス。初のチューブレス。

これで、ロードライドに出たのであった。下りではあっという間にギアが無くなる、平地で気持ちいいギアにならない、というのはフロントシングルの宿命として、一方で登りではこれでもかと足をくるくる回して乗れるので、車体の重さ、タイヤの重さも気にならない。こういう軽快さが欲しかったのだ。

ホイール剛性が高くなった(これまでローハイトのアルミリムしか乗ったことがない)ことで、乗り味はやや硬質。とはいえ、タイヤのエアボリュームのおかげで不快な突き上げもなく。ロードバイクっぽく乗るなら28cくらいを履かせるといいかも。

そしてこの日、凍結を避けて東側から回った峠は、見事に雪に埋もれていた。思いがけず、CXバイクのポテンシャルを知るチャンス。

雪で乗ってみて、ディスクブレーキいいと感じる。これはスノーライドが捗りそうだ。

2020年、レースにバイク&フィッシュに、活躍してくれよな!

Standert.