【寄稿】CYCLE SPORTS 2020 7月号「乗らずに楽しむ“おうちじてんしゃ時間”」

2020年サイクルスポーツ7月号「乗らずに楽しむ“おうちじてんしゃ時間”」に寄稿しました。COVID-19の外出自粛を受けて、外に出ずに自転車を楽しむコンテンツを紹介するもので、僕は書籍、雑誌、インスタアカウントなどのピックアップで協力させてもらいました。

他の選者の方のよるピックアップも面白く、いい意味で自分の興味と違うものが出ています。乗るだけではなく、見るコンテンツとしての自転車をもっと楽しみたくなりますね。

誌面で紹介した僕のピックアップ、いくつかもう少しの補足を。

『ツール・ド・フランス 栄光のマイヨ・ジョーヌを求めて』北中康文 スーパーエディション

誌面でも書いたけれど、この時代にすでに写真表現としてのツール・ド・フランスはほとんど完成しているように感じる。フィルム時代の1枚へのこだわり、というものを感情的に信じたくなるのもあるかもしれないけれど、マシンガンのような連写が当然になった現代にあって、この時代の撮影論というものを知りたくなる。ツールは時代を写す鏡。ここに写っている、30年以上昔のフランスの夏に、なぜかノスタルジーを感じてしまう。からりとしたフランスの夏の暑さが写されている。

この本はオープンしたての盆栽自転車店で購入したものだったと記憶している。自転車本体だけでなく、文化まで提供できるこんなお店がもっともっといっぱいあるといいのにと今でも思う。

L’ATLAS DU VÉLO -Augmanté par Strava

これは昨年フランスで購入したもの。ちょうど発売されたところで、本屋にいったら普通に売っていた。序文をグルパマFDJのティボ・ピノが寄せている。Stravaはそのビッグデータを活かしたルート作成機能も充実の一途を辿っているけれど、こうしたサイクリストが実際に走っている、偽らざるデータから作り出されたルートガイドというのはよい。とくに僕たちのような外国人にとっては、異国の地を走るのにまたとない手引きになる。

買った時にも書いてるけど、日本版も作れるはず。Strava Japanへの取材の折にそれとなく言い続けているけど、今後も言い続けよう(笑)

今回改めて思った本の良いところは、それを買った場所とか、状況も含めて一冊との関わりがあることだなと。やっぱりできるだけ、お店で一冊を手に取りたい。それが時代錯誤なんだとしても。