RCC Zwift Championship APAC アジア予選参戦紀

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家にいながらにして、レースへの準備・出走・レポート書きまで完結するとは、なんという時代であろうか。今はとにかくお尻がイタイ……。

この3月からの生活の変化ぶりに、何か書こう書こうと思いながら漫然と時間が経ってしまった。本を読んだり、Netflixを観たり、zoomで旧友と杯を交わしたりなどとしながら、やっぱり毎日の生活の中に一番の変化として入ってきたのはZwiftなんである。

昨年末にZwiftのCEOエリックさんにインタビューをさせてもらったのもあり、やろうやろうと思いながらも、飯能という土地柄、冬でも走れるところはいっぱいあるわけでインドアの必要性がそこまでないのだった。しかし今回の新型コロナにより、これはもう導入しないテはないだろうと始めたのだった。

…で、初めてみるとこれが面白い。何より体を動かせるというのがありがたい。Zwiftの使い方はまだまだこれから、であるけれど、グループライドでmessengerのビデオチャットをオンにして喋りながら友達と一緒に走れるのは面白い。日本全国に散らばった仲間たちとこうして一緒に走れるのは、こんな機会と状況がもたらした嬉しいことのひとつ。

そしてZwiftづいていたある日、Rapha Cycling ClubのインターナショナルなZwiftレース開催の報を知る。世界中に会員のいるクラブのこと、各地域で予選を行い、そこから勝ち上がり方式で本戦を行うという。面白い試みだ。それに、知り合いも結構な人数の出るであろうレース、面白くならないはずがない。

さて、Zwiftは面白いのだが、グループライド以外ではついレースを走ってしまう。なんか一人で走っても面白くないし、などとひとりごちてレースの後方でペースのあう集団に入ってのんびり走ろうとエントリーをしてしまう。そして始まると頭に血が上って結局毎回全開……。そんな乗り方ばかりしているので、毎日高強度レスト何それ状態で、さっぱり自分の状態がいいんだか悪いんだかわからないのである。

レースは夜19:00から。午前中はローラー台のキャリブレーション、Di2の変速をローラーに装着したスプロケのために調整、そしてコースの下見まで行うという念の入れよう。我ながら気合が入っている。それぐらいの気合いをなぜ昨シーズンのシクロクロスで発揮できなかったのか。おかげでDi2の調整の仕方をよく理解できましたとさ。

この予選レースでは40位以内に入れば、準決勝への切符が手に入る。とはいえ、レースの公式結果のためには心拍計とZwift Powerへの登録が必要なのだが、それは間に合わずなので走るのはいずれにせよこの予選だけ。自分の実力だと予選通過できれば上出来、というところなので純粋にこのレースが本番だ。

スタート30分前にログイン、したのに2列目……。この早い者勝ちの整列順、昔のシクロクロスミーティングみたいでいいよなぁ。(そして控えめな高校生だったワタシはいつも後ろからのスタートだった)

レースは130名ほどでスタート。レースの最初がキツいのはオリコミ済みだが、開始2〜3分を6倍近くで踏まなきゃいけないのは堪える。しかしここで食らいついておかないと、後が大変なので「一番最初こそ一番頑張りどころだ」と自分に言い聞かせる。シクロクロスと同じだ。

なんとか耐えて先頭集団で1周目をクリア。しかし本当にこのペースで最後までもつのか? と不安が頭をよぎる。今回はレースの模様を録画しようとカメラをいくつも回していたのだが、企画倒れになるかも……と余計な心配もする。毎回そうなのだけど、自分の出力が周囲のライダーより必ず高い。みんなが3.6倍くらいなのに自分は4.2倍とか。なぜだ。そういうのも、精神衛生上良くない。

まだ1周目なのに、集団が一気に縦に伸び、これはやばいともがいても全く前に上がれず。この動きで取り残され、8人ほどのグループで前を追うことに。しかし強烈なスピードで我々を切り離していった25名ほどのメイン集団に、千切れた8名で追いつくはずもなく、タイム差は広がっていく。

しかし同時に、このグループでゴールできれば33位までには入れることになる。思惑は一致した。前に追いつく…は難しくとも、協調体制をとって後続に追いつかれることなくゴールまで行くのだ。この時点で後ろの集団は40秒ほど後方。こちらは人数も減っているので、後方で10人ぐらいが猛追を始めたら追いつかれる可能性もある。

それがわかっているので、8人になってもペースは維持して進む。流石に先頭集団ほどではないが、結構きつい。ぎりぎりゴールまで持つかな……という感じ。後方集団もペースが上がりきらないようで、タイム差は広がっている。まぁ先頭集団とこちらのタイム差も広がっているんだが。

あとは展開という展開もなく、ひたすら協力しあって進む。途中でメンバーから「この調子で行こう」的なメッセージが飛ぶが、どうやってテキストしてるんだ? こちらにはそこまでの余裕はない(油断すると置いていかれそうになる)。実走じゃないと、こういう時に誰が余裕あって誰がいっぱいいっぱいかがわからない。もしかしたら自分以外の全員、全然ラクショーな感じで走っているのだろうか……まぁ考えてもしょうがない。とにかく一緒に行くだけだ。

前からこぼれてきた数名を加えて、よくまとまった集団は特に予想外の動きもなく淡々とゴールを目指す。さすがにゴール前はスプリントになるが、この種目を圧倒的に苦手とするワタクシ、踏み遅れの伸びずじまいで30位でフィニッシュ。しかしまぁ、実力を考えると大健闘だろう。

1時間ほどの高強度で、それはまるでシクロクロスレースのようであった。こうバーチャルでも背中が遠くなる切なさを味わうとは思わなかったけれども、だからこそもう少し走れるようになりたいとも思うのだった。日本のRCCメンバーも上位に何人か食い込んでおり、続くレースでは応援したい。

Zwiftは時を同じくして、Tour for Allという国境なき医師団へのチャリティイベントが始まったので、今月の残りはこれに参加しつつ楽しむ予定。

レースが終わった後の讃え合いが現場のようにはできないのが残念ではあるけれど、共に汗を流した仲間とはバーチャルであっても親近感が湧くのだと学んだレースだった。ナイスレース。

編集者、ライター、サイクルロードレース実況担当(GCN)、レースMC、釣り人、シクロクロッサー。

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