前橋シクロクロス 2017-18 MC & RACE!

てなわけで、開催4回目の前橋シクロクロス、4度目のレースMCを担当させていただきました。そして今回は、1年ぶりに自分のレースも!

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C4のスタート。自分のレース直後だから、僕もナベくんもビブショーツ姿。photo by Satoshi Oda/Kasukabe Vision Filmz

凍結路からマッド、そしてドライへ

折からの寒波で、ずうっと寒い2018年の冬。この日も例外でなく、日が出るまでの時間の寒さと言ったら。それでも6:00開門に合わせて会場入りしてくるシクロクロッサーの数よ。朝6:00-8:00までの2時間(!)をたっぷり試走に充てている前橋シクロクロスは。毎回真っ暗な中から会場入りして、イベント準備をするのにも慣れてくると、実はこの時間がすごく好きなことに気付くのです。

しんと冷えた空気の中、カラフルな試走のライダーが続々と増えてくる時間。わずかな緊張が表情に見え隠れするライダーたちが、白い息を弾ませて往還するBMXコース脇。曙光を浴びながら、今日の1日を思うひととき。どのレースよりも多くのライダーがコース上にいるこの時間が好き。

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photo by Toshiki Sato

昨日のコース設営時には先日降った雪がマッドコンディションを演出していたけれど、この冷え切った朝には泥の轍がタイヤのノブまで削り取りそうなほどにエッヂィに凍りついている。時間が進めばまた泥に戻るのだろうけれど、試走時にそれを読み切るのはなかなか容易ではない。

いい意味でも悪い意味でもマイクを持つ緊張感が薄れてきた4度目の前橋シクロクロス。この日参ったのは朝が寒すぎて顔が固まってしまい、うまく口が動かなかったこと。朝イチの開会式で全く回ってくれない舌よ……。日差しが出てきてからようやく解凍されたようになってきたけれど、同様にレースコースも少しづつ緩んでいて泥の箇所を増やしていたのでした。ただし、午後のレースが始まる頃にはコースも踏み固められてほぼドライになっているという、めまぐるしくコース状況の変わる1日でした。

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photo by Makoto Ayano/cyclowired.jp

スプリント、スプリント、スプリント!

さて、いつものようにキッズレースを皮切りに始まった前橋シクロクロス。この日はとにかくスプリント決着が多く、観ていて大変に興奮するレースでした。CM2+3、CL2+3、C2、C4A、C4Bと多くのカテゴリーがホームストレートで決着したのでした。

こんなに悔しい2着ってはじめて✌🏼 #crossisfun #maebashicx #monokusaracing 📸: @h12070

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スラロームセクションやタイトコーナー、パンプセクションなどのテクニカルな箇所が多い前橋のコースですが、アタックを一発決めるための踏みどころが少ないのも事実。シーズンも終盤になってどのカテゴリーもライダーの脚力が揃ってきているためか、展開の中では決定的な差が生まれにくかったように思います。こういう決め所の少ないコースで、アタックしてパックから抜け出すような動きを混ぜて、ライバルを揺さぶる展開を自分で組み立てていく走りができると、昇格後のレースへの移行もスムーズになります(え、偉そう)。

そのあたりはCM1では、伊澤一嘉(Tonic CX Team Japan)選手が終始単独先頭で逃げる、さすがの走りでした。伊澤選手のメカトラに救われる形とはいえ、優勝した竹田 佳行(kei’spower!)選手は伊澤選手との差を終始5秒ほどで粘っていて、こちらもさすがの勝負勘。全日本選手権マスターズでポディウムを獲得した選手たちの実力を見せてもらいました。前回はディスクホイールで目立っていた伊澤選手は、今回は普通のタウン用ティアドロップのサングラスで参戦。しかし普通に似合っていて、狙った奇抜さではありませんでした。男前も難しいですね。

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最終周回のメカトラでバイクを押して走ってゴールした伊澤さんは2位。 photo by Haruo Kotera

C1への昇格をかけたC2もまた、スプリント勝負になりました。こちらは2名の選手によるデッドヒートの末のスプリント。見事に勝利をもぎ取った菊地健一(SNEL)選手は前回10月の前橋シクロクロスで3秒差の2位に入った選手。前橋シクロクロス皆勤賞を誇る彼が、相性の良いこのコースで、見事リベンジ達成。

ぼくのレース

去年1月のレースに続き、今回も自身のレースを走らせてもらいました。C1の間のMCはこの日CM1で3位に入ったgyoさんにお願いしました。ありがとうございました! 全日本でのポイントが効いてか1列目スタートの利を活かして、1周目は7番手あたりで耐える走り。差のつきにくいこのコース、先頭の姿もコーナー3つ先ぐらいに見えていて走るモチベーションは高い。

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スタート位置に恵まれ、まずまずの滑り出し photo by Makoto Ayano/cyclowired.jp

ほどなくして、後ろから三上さんが合流。ゼエゼエとものすごく息が上がっている。高校生の頃から15年来、この人の背中を追いかけては来たけれど追い抜くことができないでいた。しかし今日は、自分のレースにできるかもしれない。少々の手応えも感じている今シーズン、このコースで一矢報いることができれば。俄然として燃える。しかし、しかし。さすがに上手い。コーナーの処理、パンプトラックでのライン取り、森林区間の抜け方、細かい加速、セクションを点ではなく線をつないでいくような走り。タイトな箇所で離され、ストレートで追いついての繰り返しでレース時間が過ぎていく。いつの間にか、ずっと三上さんの後ろで前に出れていない。

それにしてもコーナーリングに安定感があるので、タイヤを50cm以内に近付けても何も危なげなく走っていける。高校生の頃からこの後輪について走っていたのだから、当然かもしれないけれど何なのこの信頼できる感じ。『こうやって走るんだぜ』と言われているみたいだった。大きな背中を見せられむしろ超えたい、という気持ちが芽生え『もうボクは三上さんを卒業します!』とペースを上げて抜きにかかったところ、今度は本当の声で「オレはもうこの周で終わるからなるべく盗め!」と聞こえてきた。

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photo by @decomari

確かに、周を重ねるごとに直線での伸びが無くなってきている三上さん。後ろについているだけならなんとかなりそうではあったので、その思いをありがたくいただくことにして、今一度後ろにつく。とすぐにやってくるシケイン、テーブルトップ。そしてあっという間に3mの差がついた。大丈夫、この差なら埋められる。はずが、三上さんが速い。レースは残り3周だが、最後の追い込みでブーストしている感じ。ここは離されちゃダメだ……しかし駐車場エリアのコーナーと森林区間で見事に差が開く。

大丈夫、ホームストレートでなんとか追いつける。もうさっきの周で終わりだと言っていたじゃないか。……しかしその背中が近づいてこない。むしろさらに火がついたような走り。終わるどころが息を吹き返している? 自分はどうだ。ストレートで追いつけばいいとコーナーで攻める走りはしなかった。レース前半に三上さんが後ろから追いついてきた時のように息が上がるほど、追い込んでこの最終局面を走っているのか? NO。あの背中が遠ざかっていく。

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photo by @arakawa_monthly

おそらく「この周で終わり」と言ったときの三上さんは本当に一杯一杯だったのだと思う。しかしそこで見せてくれた身を賭した走りに、着いていけるだけの気概とスキルが僕には欠けていた。そして僕が遅れたことが、三上さんを生き返らせてしまった。レースでは往々にしてこういうことがある。単純な脚力ではなく、展開を呼び寄せて勝敗をわける「何か」がある。

レースは7位でフィニッシュ。結果としては悪くない、けれど。負けた悔しさもある、けれど。それよりも三上さん、まだ遠いなぁ!っていうことが疲れ切った体に実感として染み渡ってきて、むしろ清々しい気持ちになってしまうのだった。これこれ、出し切った時の、シクロクロスレースのフィーリング。学ぶことの多い1時間、濃密だった。はぁ(ため息)

良いものを見せてもらいました #maebashicx #cxjp

shinichi fukumaさん(@kumafu)がシェアした投稿 –

 

2017-18 前橋シクロクロス #2 C1
順位:7位/31人 22% ※トップとのタイム差1分15秒

自分のレースが終わった後は、C4のMCに戻る。着替える時間もないから、スキンスーツの上にジャケットを着て。でも肺を全開に使った後だから、よく声も出る(笑) ライダーの途切れないC4のレースはめまぐるしく、しかしそれぞれにドラマのある決着をみて響くものがありました。今シーズンを通して、惜しいところで表彰台や昇格を逃していた選手が報われるのを見るのは、単純に嬉しい気持ちになりますね。

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photo by Haruo Kotera

ということで今回も無事に終了した前橋シクロクロス。回を重ねるごとに、運営の手際も良く(土曜の昼にはほぼコースが出来上がっていて、日曜の17:00には撤収が完了!)なって、参加ライダーの楽しんでくれた気持ちがSNSにいっぱいになっていって、毎度のことながらこうした場を作り出すCycleclub.jpのみんな、特にtkさんとなべくんに感嘆を禁じ得ないのでした。日曜の夕方、CCJPとお手伝いの面々で撤収作業を終え、「今度はロードで、みんなで乗ろう」という言葉が飛び出すこの感じが、すべてを物語っていますね。

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photo by Haruo Kotera

それにしても、なべくんのC1でのスプリント優勝はお見事!の一言。宇都宮ブリッツェンの鈴木選手を抑えてのスプリント勝利に言葉場もない。さすがの勝負師、格好いいぜ。

koichi kasuyaさん(@koichikasuya)がシェアした投稿

最後に、前橋シクロクロスのナイスなフォトギャラリーをいくつか紹介。

お馴染み巨匠こと@toshikisato さん
#maebashicx Feb. 2018

@haruo.860@uki_lilukitchenの写真上手いカップルによるフォトギャラリー。
#maebashicx 2018/02/04

maebashiCX #2 2018

国内CXシーンでお馴染みの春日部写真店のフォトギャラリー。そうそう、Raphaのページでは織田さんをフィーチャーした動画が上がっていました。これも必見です。

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Instagramで #maebashicx をチェック!

また来シーズンお会いしましょう。参加のみなさん、お疲れさまでした。

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photo by Haruo Kotera

前橋シクロクロスHP